腕時計メンテナンスの修理工具-腕時計用ハンマー

腕時計メンテナンスの修理工具/腕時計用ハンマーについて解説です。初心者にとっては時計サイトに写っている腕時計用ハンマーの写真を見て”タダの金槌では?”と思う方も多いでしょう。ハンマーくらい購入しなくても何処の家庭にでもあるものと同じではと。

ところがそうではありません。わざわざ購入する必要があるのか、ここを読んでご自身で判断してくださいね。ネットでは”1本¥2.000”くらいで売っています。サイトの写真では大きさが分からないですから、腕時計用ハンマーといっても普通のハンマーに見えます。しかし現物は、かなり小さいハンマーなのです。金色の方は金属で黒い方は固い樹脂になっています。ピンを打ち込む時は金属側で。最後の一叩きでベルトに傷を付けたく無い場合は黒い方で打ち込みます。

長さは23cmくらいありますから、大工用ハンマーと変わりませんがヘッドの大きさが、長さ5cmくらいと直径が1cmくらいです。重さも30gと軽量。これが普通の大工用ハンマーとの比較写真ですが、いかに小さいかお解りでしょうか。何故こんな腕時計用ハンマーがあるのか?ですが。”一番のポイントは軽いということです”。大工用のハンマーではウェイトが掛かりすぎます。そうなれば割ピンを抜く工具などを叩いた時に加減によっては工具やピンを歪めてしまったり、ベルトそのものを潰す危険があります。それ相応のウェイトなら工具やベルトを潰すことから回避出来ます。

もし大工用のハンマーで作業する場合は、大きなヘッド(金属部分)を持って作業しましょう。柄を持って振り下ろすと腕時計用工具などは一発で潰れます。

分かりやすく言えば、犬小屋を日曜大工で作るのに釘を打つ作業がありますね。これを建設業者の方が”杭”を打つときに使う「大ハンマー」で作業したらどうでしょうか?犬小屋に使う程度の釘は曲がってしまいますね(;^_^A。それと同じ理屈ですか。

余談ですが、写真左が私が以前から使っていた腕時計用ハンマーです。こちらの方がハンマーらしい形をしています。上の写真で比べて頂くと分かりますが右のハンマーと大きさは同じですが、ヘッド部分が小さいのです。小さいだけではなく重さも軽いのです。左で25gくらで右で30gくらいです。たった5gの違い。

今でもこの形状の物は売っています。写真の物は父の代からの物で1960年頃の物です。もうアンティーク感すら出ていますが、最近はこれを使うことはなくなりました。もっとも腕時計の職人さんは今のハンマーよりもこちらの方を良く使用します。

これは何故かと言えば、腕時計の小さな(ベルトのピンよりも小さい)部品を修正したりするには、この形状と重さでないと困るからです。私は腕時計の分解まではしません、ベルト調整くらいです。よってベルト調整ならある程度のウェイトがあるハンマーの方が使い勝手良いのです。

言い換えればこのハンマーでは、固い割ピンを抜く時にはパワー不足になります。僅か5gの差ですが、今のハンマーの方が使い勝手が格段に良い訳です。よってベルト調整が目的で腕時計用ハンマーを購入予定の方は、下記写真のハンマーを購入しましょう。上の写真の方がハンマーらしく格好が良いと購入すると使い勝手が悪くなります。

昔はこのハンマーは無かった訳ですが。では何故、ベルト調整には使い勝手が良いこのハンマーが昔は無かったのでしょうか?

それは今のハンマーはベルト調整用です。「割ピン式」「Cリング式」に使用しますが、この両タイプともに1970年代に入ってから時計メーカーが採用し始めました。
よって昔はベルト調整といえば「スライド式」「板バネ式」「カット式」しかなく、”割ピン式やCリング式自体が存在しなかった。”よって今のハンマーは必要が無かった訳です。ベルトの進化に合わせて工具も変化していきます。

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ベルト調整ならこちらです。この程度のサイズなら場所も取らないですし、軽いですから危険性も少ないです。よって机の上に置いておけば、普段は”肩叩き器具として活躍します!”(;^_^A

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